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なろう少女小説のススメ

なろう小説の中でも少女小説っぽい作品(独断)をレビューします。

レビュー:勇者の姉は待つだけじゃない。『天上の青は謳う』

レビュー 小説家になろう 完結済み ファンタジー 異世界トリップ

理想的な姉弟関係です。

天上の青は謳う』は、勇者の弟はいるものの、彼の冒険には関わらないはずだった姉の小さな冒険の物語。

主人公、佐倉伊織(=イオリ)とその弟、佐倉悠樹(=ユーキ)は、日本人の父と異世界人の母との間に生まれ、ある時勇者の資質があるとわかったユーキは母と共に異世界へ戻り、イオリは異世界へ渡ることなく日本で父と暮らしていた。ある日、弟からの手紙を読んでいると、突然明るい光に包まれて、イオリもまた異世界へと召喚される。世界に平和を取り戻すため旅に出た弟の邪魔をしようと、イオリが悪意を持った第三者に勝手に召喚されるのを防ぐためだというが、その日の晩、早速事件が起き――。

まず特筆すべきは、登場する姉弟・兄弟たちの健全かつ理想的な関係じゃないでしょうか。いがみ合うことなく、かといってブラコンシスコンをこじらせることもなく、お互いがお互いのことを尊重し合っている、それ故にある程度のことは放置できる、でもいざとなったら必ず助けに行く。主人公イオリとユーキ姉弟しかり、トレド王国の王子3兄弟しかり。これって別に、いたって「普通」の関係なんですが、こと異世界が絡むとこの「普通」がなかなかないのです。彼らの信頼関係が物語のひとつの軸になっているのは間違いありません。

そしてもう一つは、イオリの行動力でしょうか。ちょっと普通の女の子には真似できない、さすが勇者の姉というべき正義感です。それは一見無謀にも見えますが、イオリの確かな信念に基づく行動で、読んでいてハラハラはするけど、イヤミがない。そんな彼女だからああいう結末にもっていけたんだろうな、と思います。

最終的にくっつきますが、基本的に恋愛要素はかなり薄め。話が綺麗にまとまっていてとても読みやすかったです。

全32話、完結済み。

天上の青は謳う(作者:奏多)